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ショッピングモール


ピングモールが好きだった。ブルース・ブラザーズのジェイク・ブルースの言葉を借りれば、モールには何もかもがあった。市営プールには飽き飽きし、遊び相手にも嫌気がさし、水鉄砲の打ち合いをするにもあまりに気温が高い、そんな暑い夏の日には、モールに出かければ、エアコンで涼めるだけでなく、さまざまな楽しみもあったのだ。ヒッコリーファームズで無料のチーズとソーセージをたらふく食べて、スペンサーギフトに立ち寄り、ブラックライトで照らされたポスターをぼんやりと眺めることができた(それに、ごく簡単に仕切られた“大人用パーティゲーム”のコーナーもこっそりと覗いた)。


アメリカで3番めに大きいモール、ミネソタ州ブルーミントンのモール・オブ・アメリカ。 Image, Wikipedia.

 それから、買う気はないが買うことを考えるのが楽しいあらゆるものを見ることができた。私がよく見ていたものは腕時計で、その時代はもっぱら機械式時計であったが、クォーツウォッチも多く登場してきていて、日毎にその数が増えていった。時計はどこでも売っており、伝統ある高級宝飾店にもあるが、ホームセンターやドラッグストア、大通りにある専門の屋台など、ありとあらゆる場所で売っていた(とても長い時間を過ごしたので、私はその当時の“ドラッグストアウォッチ”という言葉が、現在の“モールウォッチ”と同じような痛烈な言い回しであったことを覚えている)。

数々の時計
1980年に大学進学のために家を出るまでは、モールは私の生活になじみ深いものであったが、1984年に大学を卒業してマンハッタンに移ると、私の日常からは随分遠いものとなった。だが、私は今もあるショップのことだけは忘れられない。それはWatch Station & Sunglass Hut(ウォッチステーション&サングラスハット)だ。サングラスにはあまり興味がなかったが、ウィンドウショッピングで時計の数々を眺めるのは最高だったし、その品揃えは素晴らしかった。ティソやハミルトン(さらにETAのCal.6824を搭載したいくつかの懐中時計)、その他にも多くのブランドがあり、ファッションウォッチからより高価な“ファイン”ウォッチまで見たことを覚えている。

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